<大人になったイナジャパメンバーで王様ゲーム>






 ※書いてなくてもイナズマジャパンメンバーが全員いると思ってください。  ※全体的にホモホモしいです。特にそめふぶ。(円←ヒロと佐久←鬼の変態っぽさは通常運転でしょ?)←  ※ノリだけで書きました。すみません。






 欧州から一時的に日本へ帰ってきて、元イナズマジャパンのメンバーたちと忘年会へ参加した。遠方からも土方や綱海、吹雪がちょうど都合よく来れて、久しぶりに皆で集まって話すことができ、とても良かったと思っていた。
 だが、おれの考えは甘かった。

「そォ~れ! 一気、一気!」
「いいぞ、それでこそオトコだ染岡~ッ!!」
「染岡くんカッコイイ~!」

 特大サイズのジョッキを傾け、黄金色に輝く液体を体内に流し込んで、染岡は今日一番のキメ顔をしてみせる。

「オレは、負けないぜ」

 そして、白目になって真後ろに倒れた。

「染岡くーんっ! しっかりするんだ!」

 ヒロトはそう叫びながら、自分の上着を脱いで布団代わりにかけてやっている。さすが社長、気が利く奴だ。
 他の皆は、まるで中学生どころか小学生に戻ったみたいに、馬鹿騒ぎをしている。
 おれはそんな光景の端に座って不味いビールをちびちびやりながら、皆の楽しげな様子を眺めたり、時々会話に参加したりしていた。

「よーっし、みんな! 王様ゲームやろうぜ!」
「「ウォォオーーーッッ!!」」
「フゥーッ!! 待ってました!」

 唐突に言い出した円堂の提案に、20人用掘りごたつの個室は最高潮の盛り上がりを見せた。
 特に風丸と栗松が大賛成している。何を狙っているんだ。

「割り箸を集めるでヤンス~っ!」
「誰かペン貸してくれ」

 王様ゲームもルールもよく知らないおれは、のんびりと、円堂が握る数字を書いた割り箸の束から一斉に引く輪に加わった。番号の書かれた割り箸の中に、一本だけ王冠マークが描かれていて、それを引いた人間が王様ということらしい。
 もしおれが王様になったら、困る。こういうゲームなどで、場を盛り上げるのは苦手だからだ。どうすれば面白くなるか分からない。だから、何か面白いことをやれと王様に命令されたとしても、それも困ってしまうのだが……。

「王様だ~れだ!?」
「……待たせたな、オレが王様だ」
「ぃよッ! 修也様ぁ~!! お前はいつも遅いんだよ!!」
「まだ始まったばっかりだぞ! お前それ言いたいだけだろ!」

 ワハハハと笑い声があがる中、豪炎寺が咳払いをして、割り箸を王様の持つステッキのように、あぐらを組んだ膝に立てて言った。
 あいつなら妥当だとおれは思った。誰も文句を言わないだろう。しかし相変わらず涼やかな目元のまま、顔色も変えずに座っているところを見ると、酔っているのかいないのか分からない。ザルだったのか。

「それじゃあ、4番が1番に……何がいいんだ?」
「なんだよ~!」
「決めてから言えよ!」

 土方の隣でツッコミ役を嬉々として引き受けている不動を見ているのが、こんなに楽しいとはな。おれも酔ってきたのかもしれない。
 ぼーっとした目で遠くを見ながら焼酎のお湯割りをぐびりと飲む豪炎寺王に、佐久間がへらへら笑いながら言った。

「オレはぁ~、鬼道とならキスしてもいいぞぉ~! 濃厚なヤツ……んふふ」
「オレも円堂となら……」

 さらに呼んでないヒロトが割り込んできて、勝手に妄想を広げ、うっとりしていた。お前たちは4番でも1番でもないだろう。

「好きだよ、君のその目……」

 ドン引きしている円堂の目がか。マゾなのか。
 さっきヒロトは気が利くヤツだと思ったが、大間違いだ。円堂と二人きりになるチャンスを狙っているだけで、邪魔者は全て排除する勢いだ。気をつけろ、円堂。
 そんなことは知らずに、王様の豪炎寺がやっと命令を決定した。

「よし、4番が1番のほっぺたにチュウだ」

 豪炎寺、お前、酔っているな。
 しかしあいつの穏やかな性格的に、いじめも破壊も無理やりも嫌がるだろうから、簡単かつなごみ系の命令で手を打ったのだろう。頬くらいならプライドも傷つかない。しかしほっぺにチュウとは、明らかに夕香ちゃんの影響と思えるが。

「はいはーい! 1番は僕だよ!」
「4番はオレだ!」
「……なーんだぁ」

 一気に和やかな雰囲気になったのは、吹雪と染岡が普段から仲良しで、染岡ならば吹雪の頬に唇を押し当ててもなんら不自然ではなく、面白味に欠けるからだろう。実際、二人の活躍が目覚ましかった試合の後などには、積極的に染岡が吹雪を抱き上げたり、吹雪が染岡の頬にキスをしたりしていた。つまり日常茶飯事である。

「罰ゲームになってないね♪」
「いつもと逆ってことくらいか?」
「なんだよ~このバカップル~!」

 らんちき騒ぎには和みタイムも必要だろう。おれとしてはむしろ、このまま穏やかに終了してほしいところではある。

「もう一回やろうぜ!」

 しかしまだまだ宴は終わらない。割り箸が回収され、もう一度円堂の手から引くことになった。
 もし佐久間が王様になったら全力で逃げよう。ヒロトが王様になったら円堂を死守しよう。そう心に念じながら、おれは風丸の控えめな整った字で12番と書かれた割り箸を握った。

「王様だ~れだ!?」
「オレだ!」

 おれは少しほっとした。緑川なら、それほどひどい命令は出してこないだろうと思ったからだ。そして、おおごとに発展する前に飽きて終了してほしい。
 だが、なかなかそう上手くはいかないようだ。

「それじゃあ……12番が1番に食べ物を口移し!」
「うっひゃ~!」
「誰だよ12番!?」

 すっかり傍観者気分でいたが、おれは真っ青になっていた。どどどどうしよう。もし1番が佐久間だったら逃げよう。だが佐久間は嫉妬深い魔女のような形相で割り箸を片手で折ったところだ。どうやら違うらしいと安心した時、ふと向かいの不動が立ち上がった。

「はぁ~い、オレ1番~」

 その顔は、おれが12番だと知っていて、これから何をするかも分かっていて、挑発するように先に立ち上がったのが明らかな表情を浮かべている。やめればいいのに、おれは思わず呟いていた。

「12番はおれだ……」
「マジかよ!」
「だぶるしれいとうの口移しだァ~!!」
「一体どんな戦略で挑むのかッ!?」

 ドンドンチンチンと囃し立てられながら、不動が側に来る。大丈夫、ただのゲームだ。

「やめろ、戦略なんて無い」
「何にすんの?」
「ここに! のど飴が! あるぞぉぉ~!」

 戦略とは、どの食べ物にするかという意味だったのか。
 おれは愕然としながら、小さなプラスチック袋から取り出されるのど飴を見つめた。
 
「そう……これは禁断の技」 大丈夫か、佐久間。目が据わってるぞ。
「大丈夫だって。こんなの海の広さに比べたら(ry」 綱海は顔が真っ赤だ。その辺にしておけ。

 かくいうおれも、そろそろ酒を飲むのはやめておいたほうがよさそうだ。
 なぜなら――

「ホラ、鬼道クン?」

 そう言って長方形の飴を唇に挟んで、不動がおれを見つめているのを、妙な気持ちで眺めてしまった。
 しっかりしろ、意識したほうが負けだ。おれたちはもう、二十歳を過ぎた大人の男。こんなことくらいで、鬼道家の人間は動揺しない。――そう言い聞かせながら、おれは顔を傾けていく。
 ここはふすまの側、一番奥の席なのに、全員がおれと不動を見つめているのが分かる。
 誰かが――吹雪だと思う――「おおおっ?」と煽るように呟いたのを聞きながら、おれは機械的に、いかに唇に触れず飴を歯で挟んで顔を引くかということに集中していた。

「――ッ!?」

 あっという間に。皆から見えない方の腰に手が添えられて、驚いたおれが固まっている間に、不動はおれの唇に舌を押し付け、ひと舐めして去っていった。微かに後味がスッとする。

「はーははは! ざまァ! 口移しされると思っただろ~!? オレ様のかりんのど飴ちゃんはやらないぜ!」
「は……!?」
「だって口移しとかきめぇじゃん。……見ろよこいつ、あの天才ゲームメーカー様が固まってるよ!」

 大爆笑されながら、そうか、おれは自分で考えて笑わそうとすると失敗するが、誰かに上手いことネタに使ってもらえれば良いのだと分かった。例えば不動のような奴に。それは分かったが、新たな問題が出てきたようだ。

「あ~、鬼道クンも酔っ払うんだなァ」

 そう、確かに酔っているのだろう。動悸が激しく、顔も熱い。

「ああ……」

 口移しが気持ち悪いからといって、それならば唇を触れ合わせるのはいいのかという疑問が、目眩を強くする。というか、さっきのあれはキスになるのか?カウントするのか?まさかおれのファーストキスがこんなシチュエーションで奪われたのか?
 ――酔っ払った不動に。
 いや……奴は酔っていない。このメンバーの中で1、2を争うザルだ。
 一度スペインで飲み明かしたことがあるが、二人でワインを二本空けても、まだ思考はしっかりしていた。
 そんな奴がうっかり、こんなゲームで、キスなんかするだろうか?
 皆は店員に追加注文を頼み、小暮の頭に乗った酒瓶に皿を乗せて落とさないで何秒くすぐりに耐えられるかチャレンジで盛り上がっていたが、おれの頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされ、からだじゅう熱くて、ああ、不動が心配そうにおれのことを見つめている――――。

「あ! 鬼道が倒れた!」








2016/12


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