<張り山の頂きに/開発される(だが負けてない)鬼道さんの話>
ちゅっちゅっと音を立てて啄むようなキスを繰り返した後、鬼道が深くベッドに身を預けたら、「好きにしていい」というサインだ。そうだと本人に確認したことはないが、経験上、不動は確信している。
まだ唇を触れ合わせながら手早くYシャツの小さなボタンを次々と外し、中のあたたかい肌に手のひらを這わせると、ゆっくりと静かなため息がこぼれた。サングラスを外してリラックスしきった鬼道は、いつにも増してセクシーだ。その鍛え抜かれた体をじっくり愛撫するのがまた、楽しい。
最初は「男の胸を弄って楽しいのか?」などと言っていたが、「楽しいぜ」と即答してからは、呆れたのか好きにさせてくれている。それが今日は、少し反応が変わってきたようだ。
不動は引き締まった脇腹から、細すぎず厚すぎないがしっかりと張った胸板を撫で上げる。手のひらを広げ、わずかに力を加えて全体をそっと揉んだ。次は、頂にふっくらとしている小さな突起を優しく摘まむ。
「んっ……」
思わず喉の奥から漏れてしまった声は後から隠すことなどできず、鬼道は当惑しているようだった。眉間にシワを作って、解せぬと言いたげな顔で明後日の方向を眺めている。
「感じるようになってきたんじゃねぇ?」
「……!」
隠される前に、両手で両胸の飾りを確保した。親指でこねるようにして撫でると、鬼道の息遣いが強くなっていく。
「は……っ」
「鬼道クンは感度がイイから、開発し甲斐があるよなァ~」
上機嫌で言うと、見下ろした先の赤い目に睨みつけられた。あまり怒らせるとヤバイ。だが目は細めたまま、唇の端が持ち上がっていく。
「お前も感度が良いよな」
逞しい両膝がゆっくりと、不動の腰を挟む。
これが分かってるから、堪らない。
「よくご存知で」
与えれば与えた分だけのものが返ってくる。だからもっと、欲張りになっていい。
着ているものが煩わしくなってきて、ベッドの外へ放り出す。間に何も介入しない、肌と肌の触れ合いは心地いい。
濡れた鬼道の唇を上下の唇で挟むようにしながら、下半身同士を密着させると、こもった熱がさらに温度を上げていく。堪らなくなって、また手探りで鬼道の胸を撫でる。
「は、っ……いい加減にしろ、」
眉をひそめて、鬼道が睨めつけた。だが不動はやめるどころか、探り当てた小さな膨らみを口に含む。
鬼道が抗議に頭を掴んだが、悪戯な舌と唇に思わず大きく体を揺らした。
「うぁっ……!?」
「な、キモチイイだろ」
「くっ……おい、不動っ」
羞恥に耐えきれなくなったのか、鬼道は不動を強く押し退けて、その勢いで体勢を入れ替えた。
見下ろす赤がわずかに潤みながら睨みつけてくる。
「覚悟しろよ?」
「望むところですとも」
今日は煽るのもここまでだろうが、また明日からが楽しみだ。
不動も限界を感じていたところ。ベッドに沈んで、落ちてくる鬼道の唇を受け止めた。
2017/03
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