9話あたりのアキとユウ
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兄貴がいちゃついてるならオレだって。そういう単純な思考回路で、アキはユウを連れて家を出ることにした。家出ではなく、歩いて二十分、国道沿いにあるショッピングモールへ行くのだ。
「なぁユウちゃんさぁ、オレとデートしよーぜ」
「デート……?」
ユウには何のことだかさっぱりらしい。そういえば、彼女の価値観やこれまで見てきたものについて、全く知らないことに気がついた。ちょうどいい機会だ。
「そ、何か買ってやるよ。兄貴たち階上(うえ)にいるから、今のうちに行こうぜ」
「いい……のか?」
「モチロン。遊びに行きたいだろ?」
少し躊躇ってから、ユウがこくん、とうなずく。そう来なくっちゃ。
「分かってンだろうけど……遊びに行くだけだぜ?」
「ああ……分かっている」
耳元で低い声を聞かせると、ユウは体を強張らせ、再びうなずいた。
「よっし。んじゃ、ほら」
靴を出してやると、ユウは大人しく両足を入れた。今日は丸襟の薄い水色のブラウスに、紺色の膝丈スカート。いつも姉の有奈が丁寧に髪を結っているからか、元々の顔立ちが上品だからか、ワゴンで安売りしていた服とはとても思えない。
「夕飯までに帰れば文句言われないだろ」
アキは携帯電話で時間を確認すると、ポケットに入れ、外へ出た。ユウも続く。そっとドアを閉め、二人は歩きだした。
「お前、デートの意味ホントに知らねーの?」
からかうのは楽しそうだがやめにして、真面目に尋ねると、ユウはこくんとうなずいた。まじかよ、とアキは目を回す。
「んじゃ、オレが教えてやる。デートっつーのはさぁ、恋人同士が二人っきりで遊びに行くことを言うんだよ」
「ふぅん……?」
何もない芝生の空き地を進み、土手を下りる。大きな川の横を歩いていき、アキは立ち止まった。振り向いて、ユウと一緒に芝生の上へ座る。
「な、ここなら誰にも邪魔されないぜ」
キスをして抱き寄せ、胸を触ると、ユウはアキの肩を掴んだ。
「こんなの、いやだ、アキっ……部屋に帰りたい……」
「わりぃ、オレ……ユウが可愛いから、我慢できなくて」
思わず両手を上げるアキ。ユウは周囲を見回して、人目を気にしているようだ。誰も居なくても、落ち着かないのかもしれない。
「か、可愛い下着とか、アキが好きなの、着るから……でも、外はいやだ……」
その頬に唇を押し付け、アキは深呼吸をした。
「オレも、他の奴らにユウのこと、見せたくねえ」
立ち上がり、ユウに手を伸ばす。ユウはその手を取り、引っ張り起こされて、目の前に立った。ハニーブラウンのやわらかい髪、午後の光を受けて艶めく大きなルビーの瞳。
「見せびらかしたいくらい、オレの宝物だけど、大事なとこは見せてやらねえ」
陶器で出来ているかのような白い頬を撫でて、アキは一瞬ニヤッと笑った。笑みを見せれば、安心してもらえるだろうと思ったのだ。
「オレのことだけ見てろよ……」
手を繋ぎ、来た道を引き返す。
「あ、アキ……待ってくれ……っ」
思わず速足になっていたらしく、少しゆるめたが、手は離さずに歩き続けた。もうショッピングモールなんかどうだっていい。
相変わらず、家の中は静まり返っていた。出かけていた時間は十五分程度だろうか。気付かれてもいないだろう。
ユウをソファに座らせて、自分は床に膝を着き、抱きついて胸に顔を埋める。それからブラウスを捲り上げ、キャミソールの上からふにふにとやわらかい胸を撫でた。
「んっ……あ、あんっ……」
すぐに突起が見つかる。キャミソールごとつまむと、ユウは目を閉じて吐息を漏らす。
「ぁ、あっ……」
「すっげエロいぜ、ユウちゃん……」
手のひらを使って、小ぶりだが形の良い乳房を揉みしだいた。
「はぁ、……んぁっ……」
無意識なのだろう、自然とわずかにだが膝が開いていく。アキは胸から滑り降りた両手で膝を掴み、足を開かせてスカートの中に顔を突っ込んだ。
「やっ……やめろ、なにを……」
問答無用で、息を吸い込む。オンナの匂いが鼻孔へ入ってきて、下半身の熱が一気に昂ぶった。今日はさくらんぼ柄の白いショーツ。
だが、もう少しの我慢だ。アキは舌なめずりしながら、ユウの下着を膝まで引っ張った。現れた密園に、舌を伸ばす。
「やめっ……そんな、ひゃぁんっ」
反応は上々、抵抗して止めようとしていたユウの手が、アキの頭を掴む。
「あっ、やっ、あんっ、ダメッ……!」
ヒクヒクと動くひだを舌でなぞり、ぷっくりと膨らんだ突起に吸い付いた。ユウが一段と高い声を上げ、ビクンビクンッと痙攣が起こる。
「はひゃぁぁぁッ……!!」
一拍間を置いて、秘部は愛液まみれになった。奥からどんどん溢れ出してくる。まるで、もっと強くしても構わないとでも言うように。
アキは下着とズボンを下ろし、今か今かと待っていたガチガチの肉棒をそこへ突き挿した。
「んぁぁぁああっっ!!」
潤いやわらかく蕩けた内壁が、まるで吸い付くように絡みついてくる。アキは一瞬意識が飛んだかと思ったほど、感覚に呑まれた。
「うぉぉっ……!!」
とろとろで温かいユウの中へ、ビュルルルルッと、大量の精液が注がれた。昨夜出したばかりなのに、止む間なく生産されていたらしい。
「はぅ……、ぁ……っ」
朦朧とするユウの体をソファに横たえ、嵌めたままの肉棒をゆるゆると揺らす。欲望を吐き出しきっていないのか、萎えておらず、少し緩んだだけだったので、再びすぐに硬くなった。物足りないのか、ユウの蜜が甘すぎるのか。
「んぁ……っ、また……」
「ハ……ッ、ユウがエロいから、ぜんぜん収まんない」
彼女の足を腰に絡ませて、ゆるく律動を始めた。小ぶりな柔らかい乳房が、白いプリンのようにぷるぷると揺れているのを眺めていると、もう彼女を激しく突き上げて滅茶苦茶にしたくて堪らなくなってくる。
「あんっ……あっ……」
足がグラグラするので、ユウをうつ伏せにし、後ろから挿入し直した。尻が揺れるが、安定感が出て、腰を振りやすくなる。さらにスピードを上げて、ユウの内壁を擦り、えぐることに集中した。
肉棒は愛液にまみれ、尻肌がぶつかり、ぱちゅんぱちゅんっと淫らな音が嬌声に混じってリビングに響いている。そうだ、こんな風に周囲の目を気にせず、無防備なユウを犯す時間こそ、最高のひととき。でもデートも興味があるから、ショッピングモールは今度絶対に行こう。
何度めか分からないがけいれんし収縮するユウの中で、アキは二度目の絶頂に射精した。
「うぉぉ、ユウ……っ!!」
意識を手放しかけているユウは、収まらない呼吸に何とか胸を上下させているだけだ。その髪を撫で、耳の横に長いキスを落とす。
好きだ。
心の中は初めての感情で溢れていた。
2016/05