もうすぐ節分。
シュテルンビルトでは、あまり馴染みのないイベントだが、ここオリエンタルタウンでは違う。
虎撤の実家へ休暇に来ていたバーナビーは、珍しい食べ物を前に興味津々だった。

「エホーマキ、ですか」
「節分っつーと、これだな。なんていうか……厄除けみたいな要 もあるっつーか」
「黒魔術みたいですね」
「えっ!イヤ、そっちじゃなくて……もっとこう、」

文化の説明に苦労していると、遠くから――おそらく庭の畑から、安寿の呼ぶ声がする。

「なんだぁー?」

バーナビーを一人残して、安寿を探しに行く。すぐ戻るつもりなの 。
虎撤がいなくてもこの家に慣れたバーナビーは、黒い棒状の食べ物をしげしげと眺め、持ってきた自分のノートパソコンを開いてググッてみた。

「ふむ……なるほど」

虎撤の不完全な説明が補われ、納得する。

「……昔、遊女に咥えさせて遊ん のが始まり……?」

表示されている文字を読んで唖然とする。
赤面する間もなく、た ならぬ気配を感じて振り向くと、そこに男が立っていた。
両手を掴まれワイヤーで縛られるほど気を許してしまったのは、相手が全裸の虎撤 ったからだ。

「……なっ?」

何をするのか、と問おうとするが、驚愕と困惑に声が出てこない。
全裸の虎撤はにやりと口元を歪めた。

「俺はのり巻きより、欲しいモノがあん よ……バーナビー」
「虎撤さん……!」

唇を重ねようとして目を閉じた隙に、足を払って相手を倒そうとする。
しかし虎撤は予測していたらしく、倒されかけたフリをして軽い身のこなしで体勢を立て直し、更にはバーナビーを畳へ押し倒した。
否、彼は虎撤ではない。

「誰 ……貴様ッ!」

NEXT能力を発動させようとしたが、なぜか制御されている。
力もどうしても敵わずに、情けなく拘束されているしかない。
男は不敵な笑みを浮かべ、下着ごとズボンを脱がせてバーナビーの片足を柱へくくりつけた。
もう片方の足を押さえこみ、開かせた股間に手を伸ばす。

「やめろ……!……ンッは!」

本物の虎撤によって慣らされ、何度も愛撫されて感度を高められた性器は、ひと撫でされただけで敏感に反応する。
虎撤の顔をしているので、余計複雑な気分 。

「誰 ……!なぜ、こんなことをする……ッ!?」

相手は答えず、早くも硬くなり始めたバーナビー自身を包み込んでしごき出す。
陵辱されているという事実が裏切りからの罪悪感となって、心を満たしていくが、身動きは取れず、嫌でも翻弄されコントロールされていく快感に力も失せていってしまう。
歯を食いしばり、ぼやけていく思考を平常に保とうと苦心しているなか、それを知ってか知らずか男は手を滑らせて濡れそぼった柔らかい洞窟へ突入する。

「ふぐぅ……ッ!」

殊更に顔を歪め、体がしなるのを止められない。
虎撤が気づくよう大声を出そうとしたが、傍にあった手ぬぐいを口いっぱいに詰め込まれてしまった。
相手は一枚上手 。
腰が疼く。

「準備万端のよう な。淫乱ヒーローめ……」

つぶやくと、男は隙あらば反撃しようとするバーナビーの足を抱え、己の黒光りする逸物をねじ込んだ。

「ひッ……!……ふぁ……ンうー……ッ!」

激しい快感と何かによって、涙腺がわずかに緩む。
体中を駆け巡る電流が思考回路をショートさせ、バーナビーから反撃の意思さえも奪う。
磯臭く、太くて硬いのに適度に柔軟性のあるそれは、強く穿たれる楔のようにバーナビーの純粋な体を穢してゆく。
背徳感と罪悪感に挟まれ、必死で抑えこもうとする快楽は、逆に激しさを増してしまった。

「うゥっ……!ッんン……っぐ、んンゥ……ッ――!」

純白の愛液を飛散させながら、痙攣するバーナビーの目に、先ほどの食べ物が映る。
そういうこと ったのか……と、鈍って機能しなくなってきた頭でぼんやり考えながら、射精によって力の抜けた体を揺すられ続けた。



強制終了






2012/2




戻る