拉致監禁の目的は、最初は金だけだった。
鬼道グループ傘下の会社に勤めていた父は、上司が鬼道家へ取り入るために行った投資が損害となった時、その全責任をなすりつけられて不当に退職させられた。
負わされた膨大な借金を返すため、過酷に働くはめになり、しかし稼いだ賃金は返済にあてるのでほとんど残らず、家を売り、共働き母はノイローゼになった。それもこれも鬼道財閥が眩しすぎるから、皆の羨望の的でありすぎるからなのだ。
サッカーを諦めてバイトをする十六歳の兄と、母親の面倒を見ながら近所でのさばる六歳の弟は、絶対に鬼道の名に復讐すると誓った。
「あの会長サンにダメージ与えて、残ってる借金のぶんと、そのせいで消えた金を全部、返してもらうんだ」
「ああ。用意周到で、綿密な計画が必要だな……」
しかしその計画の途中で利用しようとした姉妹が、あまりにも美しく、強かった。
体を繋げるほど、そのカラダがあまりにも淫乱極まりなく応えることに、兄弟はのめり込んだ。抑えが効かなかった。
どんどん深みにハマっていくにつれ、兄弟は焦燥の中で思考を巡らせる。どのみちいつか終わる、それなら姉妹たちの方から離れたくないようにしてしまおうと考えた。
有奈は妹の恥態を目撃してから、心がモヤモヤとしたままでいた。
隣で眠る少女は、少し疲れてはいるが、美しく愛らしく、規則正しい寝息をたてている。先程アキが風呂に入れてから着せたキャミソールの紐が肩から外れかかっていたので、そっと直してやった。
よく見れば、その美しさの中に、色が滲み出ている。今までは可憐な野ばらのようだった顔立ちに、月夜に見る牡丹のような艶がさして、思春期の彼女をより一層魅力的に表していた。
ふっと睫毛が動き、ユウは目を覚ます。まだ昼だ。
「ねえさ……」
不安げな表情に、ただ黙って肩を撫でてやる。有奈は妹の不安を感じ取り、よく理解していたが、彼女が望む適切な答えを言うべきなのに、本心から離れていく気がしていることもまた、よく理解していた。
「昨日は、あれは……あいつが、やれって……だから……」
有奈はゆっくりと、首を横に振る。
「分かっている……大丈夫だ。ユウは何も悪くない……」
自分に言い聞かせるように優しく声をかける。
起き上がったユウを胸元に抱き寄せ、背を撫でた。ユウは姉の腰に両腕を回し、肩に頬を擦り寄せる。
そんな言い訳はもう必要ないと言ってあげたかった。
午後、いつものようにソファに寄り掛かったアキが、ユウの膝を枕にしてゲームをしている。そこへ明王が摺り足でかったるそうに歩いてきた。
「おー、随分なご身分じゃねェか、アキ」
ユウの頭を撫でながら、アキを見下ろす。有奈はダイニングテーブルで指の爪を眺めていたが、明王が来ると彼に注意を向けた。ちょうど、彼らの目的を推理しているところだった。
「なーにしてんの? オレにもサービスしてよ」
明王はソファの前に座り、ユウの服をはだけさせる。
「あんだよ急に」
アキが文句を言いつつ起き上がるが、ユウで遊ぶのは構わないらしい。それどころか、ゲームを中断したままコントローラーを放り出し、一緒にユウを弄り始めた。
キスは長く、思いきり舌を絡ませ、ユウもそれに反応している。有奈は思わず目を逸らした。しかし、次第にかわいらしい嬌声が部屋に響きだす。兄弟がそれぞれ、ユウの体を愛撫している。
「何をしている……!」
「お姉さんがお疲れのようだから、ユウちゃんに相手してもらおうと思って」
思わず声を掛けると、有奈を見もしないで明王が答えた。
「兄貴ズリィ~ユウちゃんはオレのだろ」
そう言いながらユウのやわらかい胸を揉みしだき、顔を擦り寄せるアキ。明王はニヤニヤと笑って、ジッパーを下ろし、期待に膨らみ始めているペニスを妹の顔に近付ける。
「ユウ、」
無理をするなと言いたかったが、ユウは自ら、肉棒へ手を伸ばす。
「少しでも姉さんの負担を減らせるなら、私は平気だ……」
「おお、美しい姉妹愛だねェ」
明王はソファの座面に膝を立て、半ば寝るような体勢のユウの顔に跨がって、尊大な態度でフェラチオを続けさせた。有奈は立ち上がって、逃げたい気持ちで いっぱいの足をなんとか動かし、ソファへ近付く。途中からユウが呻いたので、急いでソファの前方へ回り込むと、アキがスカートの中に頭を突っ込んでいた。
「妹に手を出すな」
「そお? ユウちゃん、イヤじゃないみたいだけど……」
チュプッ、クチュ、といやらしい音が、鼓膜へ届き、遠隔的に有奈の体を刺激する。目の前で行われていることを意識したくないのにさせられていて、独りでに芯がとろけていくのを必死で止める。
「あぁ、そうそう。ずいぶん上手くなったなァ、ユウちゃん」
ユウの頭を撫でながら、わずかに腰を揺らす明王の背を睨み付け、有奈は拳を握り締めた。
「ヤりたいなら私をヤればいいだろう!」
「ヤりたいの? んじゃあ素直にお願いすれば?」
ちゅぽっと音をたててユウの口から離れ、明王はソファに座る。もうユウはあまり働いていなかったのだろう、そのまま無抵抗に、アキのクンニで絶頂へ達してしまった。
「あ、ひぁ、や、ぁぁあーーーッッ……」
ビクンビクンと足が震える。そのまま、アキは愛液を吸うのをやめ、はだけたブラウスと下着を脱がしながら、乳房を舐める。ユウが悩ましげにうめく。その声が、どんな快感から発せられるものなのか、有奈は知っている。
「……ヤりたくはないが……私は疲れてなんか、いないから……お前の好きなようにすればいい」
明王が探るようにじろじろと有奈を見る。
「ふーん? 無理しなくていいんだぜ?」
「無理は、していない……妹にばかり負担がかかるのは許せない」
「じゃあ、態度で示してみろよ? …ユウちゃん、お姉さんにお手本見せてやってよ」
アキの愛撫に身をくねらせていたユウは、とろんとした目でソファを下り、隣に座っている明王の前に膝をついた。もれなくアキがついてきて、スカートを脱がす。
ユウは明王のペニスを小さな舌で舐め始めた。
「んっ……ふぅ……んむ……」
「そうそう……いいぜェ。お姉さんには、ココをじっくりやってほしいなァ?」
一瞬睨みつけてから、有奈も舌を伸ばす。指で示された付け根の裏を舐め、袋を舌で転がし、呼吸を少なくする。だが、漂う雄の臭いからは逃れられない。
「ヒャハハ! たまンねェ!」
明王に片手で頭を撫でられながら、ユウは先端を口に含んだり、軽く吸ったりを繰り返す。みるみるうちにペニスは太さと硬さを増し、脈動が大きくなった。
「んぁあっ! ひ……ぁっ」
ユウが急に喘ぎ始めた。横目で見ると、アキがユウの尻に手を這わせ、中指をピンク色のひだの隙間へ挿し込んでいた。抜いたり挿したりを素早く繰り返すので、チュプチュプと愛液が溢れる音がする。
「なんだ、ユウちゃんはもうギブ?」
アキが笑いながら言って、しかし手は止めない。
「ふぁ……」
声もなく口を開けたままガクガクと震えるユウは、また絶頂へ達したのだろう、力が入らずに床へ崩れた。アキが覆い被さり、仰向けに転がして、クスクス笑う。
「とろっとろになってやんの…カワイー。オレが欲しい? 頑張ったから、ご褒美に挿れてやるよ」
「ひぁぁぁあんっっ!!」
有奈は明王のペニスを舐めながら、仰け反るユウを横目で見る。
「すっげぇ。またイッたのかよ? 中がビクビクしてて、やべェ」
恍惚とするアキが、ピストンのスピードを上げる。ユウの艶めかしい唸り声のようなものと、肌が肌にぶつかる音を聴いていると、どうにかなりそうなほど体 が火照ってくる。それでなくとも、明王のペニスが目の前にある。今すぐにこの肉棒を、激しく突き挿して、滅茶苦茶にしてほしい……。
太股を伝う感覚に、我に返った。愛液が溢れ出ている。こんな状態で、淫らさを否定できない。
「オイ、」
明王が、集中しろと薄笑いを浮かべて見下ろしてくる。有奈はペニスを頬張り、唇でしごきはじめた。ほどなくして、明王が息を荒げる。
「ああ、いい……く、出すぜ……っ!」
喉の奥へ、精液の飛沫が叩きつけられる。むせかえりそうになりながら飲むと、明王がソファから下りて、抱き寄せてきた。
「んっ……ああ…っ」
乳首を摘ままれただけで溢れ出た愛液が下着に滲む。朦朧とする意識を繋ぎ止めようとする努力なんか、もうどうでもいい。
アキはユウの上半身をテーブルに寄り掛からせ、後ろから突いていた。
そのテーブルを避けてカーペットに寝転がらせた有奈の太腿を掴み、下着を脱がした明王は、茂みから零れるしずくを見つけて口元を歪ませる。
「うっわ、ナニコレ…」
呟いて、とろけた秘孔に指を突っ込む。
「はあぁっ! あふ、んぅぅ…っ」
鼻から抜けるような高い声がこぼれ、咄嗟に手首を口に当てるが、もはや抵抗することに意味を感じられなくなってきていた。有奈は手を退け、吐息と共につぶやく。
「は、ぁ、…明王……っ」
青緑の目の奥で、なにかが、変わった。
明王は指の代わりにペニスを宛がい、一気に腰を押し進めた。てっきりもう少し焦らされて虐められると思っていた有奈は意外に思ったが、強烈な快感に貫かれ、すぐに他のことはどうでもよくなってしまった。
「ふぁぁぁぁあああッッ……!!!」
「はッ、ンだよッ、こんなに濡らしやがってッ!!」
明王のペニスに自分の内壁が誘うように絡み付いているのが分かって、とんでもなく恥ずかしい。だが、体は理性を放り出して、快楽を貪る。突かれるたびに、頭の芯が、砂糖菓子のように溶け崩れていく。
「ア…アアッ…ンぁあ――ッ!!」
明王のペニスに粘膜が絡み付き、搾り取るかのようにうごめいてふるえる。
「もうイッたのかよ? どんだけエロいんだァ?」
律動に合わせて両胸を揉みしだかれ、有奈は「あぁ、アッ、」と嬌声しか発せられなくなっている自分の口をなんとか閉じようとしてみたが、有奈の体はそれよりも、芯をビリビリと震動させるような快感に抵抗するどころか、全身を使ってそれを享受しようとすらし始めた。
「なンだよッ……すげえっ気持ち、良さそうじゃんッ……!?」
「あぁっ、んあァっ…イッた、ば…かでっ…つよすぎ、…ンぁ、も、嫌だぁ…ッ…!!」
「嘘つけ、ハ、嫌らしいコトが、好きなんだろッ? 素直に、好きって…言ったら、もっと、激しくしてやるぜ…!!」
明王は有奈の体を転がしてうつ伏せにさせ、尻を持ち上げて思いきり突いた。
「んぃゃぁあっっ…奥ッ…すごいぃ…っ!!」
「くそ……ッッ」
「ヒャーハハァ! お姉ちゃんやべェな!」
横で見ていたアキが歓声をあげる。彼は兄が限界に耐えていることも分かっていて、とうにそんな意地の張り合いから脱していた優越感に浸っているのだった。
少しアキの意識が自分から逸れたために、ユウは正体の分からない不満を感じる。
「アキっ…!」
ユウが顔を掴んで目を合わせるようにすると、アキはすぐにキスで応えた。ユウの中で興奮しているアキのペニスが、さらに大きさと固さを増す。
「んはッ…ユウちゃんサイコーッッ!」
「ふァあっ、おっき…んあっ、ぁああーーっっ!!」
ユウは自らも腰を揺らして喘ぎ、ふわふわとやわらかい髪を振り乱して、アキにしがみついた。直後、上体を反らせて、絶頂へ達する。もう何度目だか分からない。
うつ伏せになったまま動物のような体勢で強く突かれる有奈は、あらゆるものが麻痺していくのを感じた。たったひとつ鋭くなるのは、快感だけ。それは抑えようとしても激流のようにダムを決壊させ、さらに激しさを増していく。
「あ、ま、またイく、イッちゃ、ひ、ぁ……ぁぁああああああっっ!!!」
ガクガクと震え、意識がどこへ行ったか、有奈は朦朧としながら、明王のペニスをキュウキュウと締め付けているひだの一つ一つが受け取るものまで感じ取っていた。限界まで膨らんだソレから、爆発したかのように大量の精液が勢いよく注ぎ込まれる。
ぬめりと重力によって自然にペニスが抜けてしまったあと、有奈の体は与えられていたものが突然消失した飢餓感に襲われ、ヒクヒクとうごめいて、失ったものを強く求めた。だが、悲しみや苦痛はない。むしろそこにあるのは、久しぶりに充満する狂おしいほどの悦び。
無抵抗な体を転がして仰向けにさせ、明王がキスをしてくる。擦り付けてきた股間は、再び熱い芯を持っていく。律動の途中から、得意の罵詈雑言を忘れたのか、荒い息遣いだけが耳にかかっていた。舌を吸い 上げて唾液がこぼれるのも構わず絡み合う濃厚なキスは、貪欲に、甘い痺れを残す。
息が苦しくなってやっと口を離して見た、明王の目は少し虚ろで、朦朧としてい る。見つめ合うと、有奈はゆっくりと彼の肩に腕をかける。赤い瞳と濡れた唇が、ゆっくりと弧を描いた。
2016/05